日本能率協会とのコラボで生まれた「DX時代3つの思考法」

12月に2回、1月3回にわけての「イノベーションのための3つの思考法」企業研修が無事終了しました。オンライン3回、オフライン2回のハイブリットワークショップでした。

アート思考、デザイン思考そしてシステム思考を統合して、課題の認識、そして解決手法のデザイン、実現させるためのシステム(仕組み)のを2日間に分けて講義とワークショップを行うコースです。

オンラインホワイトボードMiroを活用したワークショップ

 
 
もともと日本能率協会さんから「アート思考ワークショップ」のお話は頂いていて、担当の方と打ち合わせる中で、「デザイン思考とシステム思考も併せたセミナーやワークショップはできますか?」という提案を頂いて設計してみたという形です。

そして、公開セミナーの担当の方、企業研修担当の方とも議論を重ねる中で、骨子ができあがっていきました。

ワークショップの詳細については、日本能率協会の公開セミナーページ「DX時代の3つの思考法セミナー」を御覧くださいませ。

なぜ3つの思考法でイノベーションが起こるのか。

ここからはこの3つの思考法でなぜイノベーションが起こるのか、その理論背景について述べてみたいと思います。

実は現代では、様々な研究のおかげで、「イノベーションが起こる仕組み」というのは、ほぼ確立されています。

シュンペーターの「新結合理論」から始まって、体系化されたのは「複雑系」という分野です。

ブリゴジンは「創発(創造)」のプロセスを、多様性に基づいた「ゆらぎ」の発生とポジティブフィードバックによる「増幅」であると明らかにしました。
自然界でよく知られた現象として、氷の粒から雪の結晶が生まれる仕組み、小さな蝶の羽ばたきから台風が起こる仕組み(バタフライ・エフェクト)、大地を流れる水の流れが大河となる仕組みなどがあります。

バタフライ・エフェクト

 
 
このような「複雑系による創発」のある意味究極が「生命」や「生物」ですが、そのアナロジーはイノベーション理論にもよく使われていて、例えば太刀川英輔さんの「進化思考」では、ゆらぎを「変異」、増幅を「適応」としています。

また先月のハーバード・ビジネス・レビューの特集で紹介された、mRNAワクチンを開発した創薬ベンチャー「モデルナ」の創造手法「エマージェント・ディスカバリー」では、やはり自然界の進化になぞらえて、「遺伝分散」と「選択圧」と表現しています。

これらは、ダイバージェンス(発散)とコンバージェンス(収束)とも表現されますが、絶えず変化する多様な環境の中で、「ゆらぎ」「増幅」を繰り返していくのがイノベーションのプロセスです。
経営学の分野でいえば、入山章栄先生の「世界標準の経営理論」でもおなじみ「知の探索」「知の深化」も同じ構造ですね。


 
   

あるいは、村上春樹さんが世界的な作品群を生み出せているのは、デタッチメントとコミットメントを常に意識し、(作品で重心は変わっているそうですが)行ったり来たりを繰り返していたから。(もちろん常に「踊りながら。やれやれ」・・・(笑))
スポーツでも、現代サッカーの分野で、秩序をあえて壊す「オーガナイズド・カオス」を知ったときは、おんなじだと思いました。

要するに、イノベーションのためのワークショップを設計する目的は、このダイバージェンスとコンバージェンスをどうやって「手法化」するかということに尽きるわけです。

今回のワークショップに当てはめると、ブレインストーミングなどで、多様な人との交わりの中で水平的に「発散」「収束」を考えるデザイン思考。

そして「対話型鑑賞法」等を通じ、自分自身の中で垂直的な「意味(抽象化)」「具現(具現化)」とするアート思考。
そうやって生まれたアイデアを、CVCAで「空間の拡がりと繋がり」を表現し、因果ループなどで「時間軸」「プロセス」に収束させることで実現するシステム思考、といった感じになります。

イノベーション

3つの思考とイノベーション

日本能率協会主催「DX時代に求められる「3つの思考法」入門セミナー」開催


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