夢がかなうメカニズム

夢をかなえたい。あるいは目標を達成したい。
誰もが(おそらく)常に思っていること。夢をかなえるため、あるいは目標を達成するために人はいろんな努力をしています。
そして「もっとうまい方法、何か『これさえやれば全てうまくいく』方法はないだろうか?」と考えて、自己啓発セミナー等に通ったり、(高額の)教材を購入する人もいます。
「夢をかなえるためのメカニズムを知りたい」という方のために、基本的な考えかたを述べてたいと思います。
異端キリスト教(ニューソート)の教義に基づいた「成功哲学」「引き寄せの法則」を信じて高額なセミナーやワークショップを受けつづている人もいますが、残念ながら現実社会ではさほどの効果は期待できません。

願っているだけではかなわない

夢をかなえるためのメカニズムを、簡単な事例で説明してみましょう。
私たちは今東京に住んでいると仮定します。そして目的は出張でも旅行でもいいですが、新大阪まで行きたい、とします。
「私は新大阪にいる」と強く願う?
残念ながらいくら祈っても、イメージングをしても新大阪は一歩も近づいてくれません。

言うまでもなく東京と新大阪の間には、新幹線が走っています。
あなたは、この新幹線を利用すれば簡単に新大阪に行くことができます。

システムを活用せよ

この東海道新幹線は、JRが旧国鉄時代に開発したシステムであることも多くの人がご存知でしょう。
JRは顧客から運賃や特急料金などを売り上げることで組織を維持している会社(これもシステム)です。
私たちはこのシステムを利用することで、目的地に辿りつくことができる。
そしてこのシステムを利用するためには、JRの顧客になる。つまり所定の料金を支払って窓口で切符を買って、定められた新幹線に乗り込む。あとは座っているだけで新大阪に着きます。新幹線の中では、景色を眺めたり読書や仕事をしたり、スマホを眺めたり、あるは居眠りをする。「新大阪にいきたい」などと一生懸命祈ったりイメージングを一生懸命行う必要はまったくありません。

「新幹線に乗って目的地に行くのと夢の実現は全く関係ない」と思った方もいるかもしれません。そういう方は自分の夢や目標をもう一度考えてみると良いと思います。
「今やっているビジネスをもっと成功させたい」「出世したい」「年収1千万円以上」「テレビに出たい」。。
いろいろな夢や目標があるかと思いますが、上記のような「夢」「目標」はみな「社会システム」を対象にしていることがわかると思います。新幹線が社会システムであり、私たちはそのシステムを活用して目的を果たすのと、何ら変わりはありません。
私たちが夢をかなえたり、目標を達成するためには、新幹線を利用するときと同じように、その社会システムの構造を知り、どうすればそのシステムを利用したり活用したりして、目的を達するか、を知ってそのように行動すればいい、ということなのです。

システム思考を身につけよう

ただし、新幹線のシステムとは違い、夢をかなえるための対象となる社会システムは、おそらくずっと複雑です。
「新幹線で目的地まで行く方法」はちょっと調べれば、子供にもわかります。
しかし夢を実現させるシステムの使い方は、夢や目標の内容、今の状況などで、一人ひとり全く異なっています。
「成功者の言葉」を読んで、同じことをしても夢や目標がかなうとは限りません。

そのために役立つのが「システム思考」です。
「システム思考」をある程度理解すれば、物事をシステムとして捉えて、その構造やつながり(相互作用)を解きほぐして目的を達成する、あるいは問題解決や課題解決につなげることができるようになります。

21世紀の現在、社会はますます複雑になっています。目標を目指して行動していたつもりが、まったく異なった結果になってしまったり、思わぬ副作用や反作用に見舞われたりすることも珍しくはありません。
私たちが豊かに暮らすための開発や経済成長が、資源枯渇や地球環境破壊を引き起こすのもその一例です。
これからもますます複雑になるだろう世界の中で、システム思考を見につけることは、夢の実現のみならず、生き残るためのにも必要なものとなるでしょう。

システム思考は難しくない

システム思考はマサチューセッツ工科大学(MIT)で開発されたシステムダイナミクスをバックボーンにMITのピーター・センゲ博士らによって開発されました。日本では、慶応大学大学院システムデザイン・マネジメント(SDM)研究科等で研究が進められています。
このシステム思考の基本は、決して難しいものではありません。上記の新幹線の事例のように私たちが無意識で行っていることでもあります。米国では数百を超えるの小中学校でシステム思考のカリキュラムがあります。

システムの要素間の相互作用(因果関係)を探し出す因果ループ図や物事の流れを示すストック&フロー図の簡単な使い方をマスターするだけで、この複雑な世界の構造をある程度まではだれでも捉えて、夢の実現や課題解決に役立たせることができるはずです。