トランプ政策の因果ループ図
トランプ前大統領が、ハリス副大統領を破って、次期米国大統領になることが決まりました。
「不法移民は皆本国に送り返す」「国境の壁の強化」、そして外国製品を国内に入れないための「高関税政策」、企業への「減税」「低金利(FRB決定にも圧力)」といったトランプの政策が、米国民に支持され、今回は激戦州だけでなく、全米での得票数も民主党のハリス候補を上回りました。
なんといってもトランプの特徴は、そのわかりやすさです。
「移民がペットの犬を食べている」などフェイクニュースであろうと躊躇することなくそのイメージを広め、自分だけが解決できるとアピールをする。
見事にその選挙戦略は当たり、次期大統領になることが決まったのですが、では彼が進めようとしている政策で、それは可能なのでしょうか?
トランプ政権誕生で今後の米国社会がどうなるのか。今回トランプが支持を集めた「移民問題」「経済問題」に絞って、システム思考で因果ループ図をつくってみました。
トランプ政策の因果ループ図
因果ループ図で描いた結果は、「逆効果」となりました。
今現在の米国経済は各種の経済指標を見ればわかるように、コロナ禍からの復活以来世界の中で「一人勝ち」とも言える状況です。
今までのセオリーですと、こういうときは「政権与党側」が勝つとされていました。
しかし、経済指標が良くても一般米国人の生活は決して楽ではないと言われています。
その最大の原因が物価高です。特にガソリンや日用品の物価が高騰しているのが庶民の生活に打撃を与えました。
今回の物価高の原因は、コロナ禍から経済が急回復したのに、働く人がいない「人手不足」が原因と言われています。
特に港湾労働者などの現場労働者の不足は深刻で、輸入品を積んだ船が港には入れず、沖合に長い間停泊せざるを得なくなり、米国内に必要なものが手に入らなくなってしまった。モノが不足すればそのモノの価格は上がる。それが波及しインフレの波が米国を襲いました。
これはバイデン大統領が就任と同時に、個人への給付金など経済拡大のためのバラマキ政策をとったことが大きいと言われています。
そういう意味では、バイデン政権のせいで今の生活苦がある。だからトランプに一票を入れた、というのは理解はできます。
ただ問題は、トランプの公約は、今よりもっとバラマキをするということと言う点。
企業への減税(トランプ減税の延長)にしろ、金利政策にしろ、そして国内製品保護のための関税政策にしろ、どれも物価高、インフレを加速させる政策です。
価格を転嫁できる大企業の収益は上がることが予想されています。だからすでに株価が高騰していますが、それはますます持つものと持たざるものの格差を広げることになります。
移民を追い出せば、ただでさえ人手不足の現場でますます働き手がいなくなり、物不足、物価高になるでしょう。また対外援助の減少と移民の送還が重なると、中南米諸国の経済不安が加速し、これはますます不法移民の増加につながってしまいます。
AIによる分析結果
併せて、それとは別にChatGPTを使って、分析のための要素だけを渡して、(私の意見やバイアスはAIには入らないように注意して)AIに予測してもらいました。
驚いたことに(そうでもないのかもしれませんが)、私が因果ループ図で描いたことと、ほぼ同じ結果になったようです。
以下、ChatGPTの回答。
米国経済、移民、米国社会に与える影響をそれぞれの観点から予測します。
1. 米国経済
米国第一主義の下で、高関税政策や国内産業保護の推進は、短期的には特定の産業(例:製造業や鉄鋼産業)を支援し、一部の雇用を守る可能性があります。しかし、これらの保護政策が長期化すると、以下のような影響が予測されます。
インフレの増加:輸入品の価格が上昇し、国内消費者が多くの消費財で高コストを負担することでインフレ圧力が高まります。特に生活必需品の値上がりが庶民の負担となり、消費全体が落ち込む懸念があります。
国際競争力の低下:高関税政策が継続されることで、米国製品のコストが上昇し、輸出が減少しやすくなります。そのため、国際市場での競争力が弱まり、米国経済全体の成長が鈍化するリスクが高まります。
貿易戦争の影響:高関税政策に対して、中国やEUなど他国が報復措置を取る可能性が高く、貿易戦争が長期化する恐れがあります。これにより、米国企業が海外市場にアクセスしにくくなり、収益が減少して、国内の景気後退につながる可能性があります。
2. 移民問題
移民に関する政策が強化され、不法移民の送還が進むと、中南米諸国の経済や社会情勢が悪化し、移民問題がさらに複雑化する可能性があります。以下の予測が考えられます。
移民圧力の再燃:不法移民の送還と途上国への経済援助減少が重なると、中南米諸国の経済状況が悪化し、現地での失業や治安悪化が進み、米国への移民圧力が再燃します。結果として、移民流入が減少するどころか、より多くの移民が米国を目指す可能性が高まります。
移民政策の硬化と人権問題:移民圧力が続くと、米国はさらに厳しい移民政策を講じることになり、人道的問題や国際的な非難が増える可能性があります。また、国内でも移民への偏見や緊張が高まり、社会の分断が深まります。
3. 米国社会
米国第一主義の政策により、社会全体には以下のような影響が予測されます。
経済格差の拡大:高関税政策による物価上昇は、特に低所得層にとって大きな負担です。生活必需品の価格が上がると、低所得層の生活が苦しくなり、経済格差がさらに広がります。これにより、社会不安や政治的不満が高まる可能性があります。
国内の社会分断:移民排斥政策や「米国第一主義」による国粋主義的な風潮が、移民や多様性を尊重する人々との対立を深める可能性があります。特に都市部と地方、移民が多い地域とそうでない地域の間で、政治的・社会的な分断が進むリスクが高いです。
国際的信頼の低下と孤立化のリスク:米国第一主義により、国際的な経済連携や気候変動などの地球規模の問題での協調が失われると、米国のリーダーシップが低下し、孤立化を招く恐れがあります。特に欧州やアジア諸国との関係が冷え込むことで、米国の国際的信頼に影響が及びます。
結論
米国第一主義がもたらす一連の政策は、短期的には特定の産業の保護や雇用創出に寄与する可能性があるものの、長期的には経済成長の停滞、社会分断の拡大、国際的孤立のリスクを伴うと予測されます。これにより、米国は経済面での持続可能な成長や、移民問題を解決する能力に影響を受け、内部からの社会不安も高まるため、長期的な視点での政策見直しが不可欠となるでしょう。
追記
o-1の推論機能を利用して、再度質問、上記とほぼ同じだったが、結論部分を追記します。
総合的な予測
経済の停滞とリセッションのリスク: 高関税政策や労働力不足により、経済成長が鈍化し、リセッション(景気後退)に陥る可能性があります。
社会の分断と不安定化: 経済的不安や社会的な対立が深まることで、社会全体の安定性が損なわれます。
国際的地位の低下: 他国との協力関係が弱まることで、国際的な影響力や経済的優位性が低下します。
結論
トランプ政権が「米国第一主義」の政策を推進することで、短期的には特定の利益を得る可能性がありますが、長期的には経済的な停滞、社会的な分断、国際的な孤立といった負の影響が予測されます。これらの課題に対処するためには、国内外での協調や持続可能な政策の導入が求められるでしょう。