夢のかなえ方を誰も教えてくれない
多くの人が「夢」を持っていると思います。
しかし、夢には、「儚い(はかない)」という意味もあるように、実現が難しいものと言う意味もあります。
学校や職場でも、「人から与えられた目標」、例えば学校が課したテストで良い点を取る方法だったり、会社が出したノルマを達成することの重要性を教えたり、そのための方法を教えたりしますが、自分自身が想う「人生の目標」である「夢」がどうすれば叶うのか、実現に近づけることができるのか教えてくれはしません。
勢い、「自己啓発本」「成功者の教え」的な本が、本屋に溢れ、実際これが売れているわけですが、これはあくまでも全く違う他人が、全く違う状況の中でたどった道のりを書いているので、自分の人生には役立ちません。(ただし全く無益という意味ではなく、ヒントを得るとか、やる気を出すという点では有益だと思います。)
富士山に登るのに、エベレスト山のルートマップを持っていくようなものです。
その上、そのルートマップは正確なものではありません。成功者本は都合の良いことしか書かれていないものです。
これは作者や編集者に悪意があるという意味ではなく、何十年者人生の出来事を、たった1時間かそこらで読める本に認めることなどできるわけがありません。ほんの抜粋にすぎないわけです。そして解釈はすべて後付け。
成功した結果から見れば、「あの失敗にも意味はあった」といえますが、失敗に終われば同じ出来事も単なる失敗に過ぎません。
同じように、「願望実現」も当てになりません。っ成功者は皆、「心に描いたことが実現した」と言います。そりゃそうでしょう。
でもその成功者の後ろや周りには、「心に描いたけど成功しなかった」人が大量にいることを、皆無視しています。(というか私たちには知る由もありません)
アマゾン創業者に学ぶシステム思考で夢をかなえる方法
夢を実現する方法とは、世の中に溢れている、ノウハウではなくて、もっと深いいわゆるメタレベルの方法論です。
例えば、ネットで検索したり本屋に行けば、「スマホの使い方」のノウハウはたくさん見つかるでしょう。でも「スマホをどう設計して創るのか」という情報は簡単にはみつかりません。夢を実現する方法は、この「設計し製造する」レベルのものだからです。
しかも、今の世の中で夢を実現するためには、一人では不可能で、多くの人にかかわらなければならないのです。夢を実現することとは、多くの人(例えばその業界の関係者であったり顧客にあたる人であったり)があなたに協力すること、とほぼ同義です。
極端に言えば、「私のこの夢の実現に協力してください」と日本中の人にお願いしてOKを貰えれば、あなたの夢は実現しますね?
「お願いする」のは現実的な手段ではありませんが、多くの人があなたの夢が実現するように動くようにする。というのが夢の設計です。言葉を変えれば、あなたが「社会システムを設計(デザイン)する」事ができれば、夢の実現に大きく近づくことになります。
そして「社会システムを設計する」方法論こそが、システム思考にほかなりません。
あなたに関わる社会システムの構造を分析して、その課題(夢の実現を阻害しているもの等)をしらべて、解決の手段(モデル)を提供する。
これが夢の実現を設計する基本方式です。
具体的に説明してみましょう。
1. 社会システムの構造分析
自分が挑もうとしている「業界」がどんなシステムになっているか知る。関わる人達(ステークホルダー)はどんな人で、どんな動きをしているのか。
2.課題(夢の実現を阻害しているもの等)を調べる
1と2に役立つツールが因果ループ図です。
例えばAmazon社長のジェフ・べソスは創業前、仲間とのファミレス・ミーティングで、そこにあったナプキンの上に、シンプルな因果ループ図を描きました。
ステークホルダーは、販売者と顧客。
その振る舞いを描いたこの図が、年間売上15兆円(2016年)の設計図になりました。
3. 解決の手段(モデル)を提供する。
実際に小さくはじめてみる。といっても大掛かりにする必要はありません。パワーポイントにプレゼン資料をつくる。サンプルやプロトタイプをつくってみる。
プロトタイプといっても大げさに考える必要はありません。デザイン会社のIDEOは、医療用のレーザーメスのデザインを依頼された際、洗濯ばさみとサインペンを使って、プロトタイプをつくりました。
スマホアプリのプロトタイプでは、大きな模造紙のようなもので、縦1メートル×横2メートルくらいの枠をつくって、その後ろで即興劇をおこなうという、幼稚園のお遊戯のようなことをしましたが、それも立派なプロトタイプです。
そして因果ループ図もプロトタイプとして使うことができまし、ストック&フロー図というのを使えば、実際にシミュレーションを行うこともできます。
スポーツで言えば紅白戦や練習試合もプロトタイプの一種です。
友達や知り合い相手にお試し販売をするのもそう。
このように創ったプロトタイプで、実際にシミュレーションを行ってみることで、現実との乖離点、改善点がみつかります。
それでまた設計からやり直して、またプロトタイプを作ってみる。周りの意見を聞いて、改善する。
それが夢の実現の工程です。