なぜシステム思考で夢がかなうのか?

「あなたが明確にされていない何かを狙っているのなら、それを具体的な形にしてみてください。驚くことに、その1つのステップを踏むだけで、不可能と思えたことが簡単なことに気づくだろう」

「社会運動の起こし方」や「目標は人に言わないようにしよう」などのTEDスピーチで有名な、デレク・シーヴァーズの言葉です。

例えば、「人手不足で困っています」
新聞などでもよく見る言葉ですね? でもこの言葉は明確とはいえません。
人手不足って何? 一緒に働く人がいないということ? 一緒に働く人とは誰のことを指しているのか? どんな人を探しているのか?
もしかすると、あなたのまわりに「どんな人」に当てはまる人はいないのか。→◯◯さんがぴったり。
では◯◯さんをスカウトしよう。 ◯◯さんの今の年収は?
単に「人手不足」という抽象的なことでは何をしていいかわからないですが、年収☓☓円の◯◯さんをスカウトするには?と具体的な形になると、戦略を考えるのはそれほど難しくなくなってきますね?

「音楽をやっているけど、どうすれば売れるのか?」(シーヴァーズは、音楽ビジネスの起業家です)
どこにその音楽を送ればいい? ラジオ局? ではどの局がいいか? その局を贔屓にしているプロモーターはいるのか? 彼はどんな人?

このように具体化すると、不可能と思うことが簡単になってきます。
◯◯をしたい。という「目標」が難しく感じるのは、この具体化のやり方がわからないからです。
(東京に住んでいる人が)大阪に行きたい。という目標はそれほど難しく感じません。なぜなら私たちの頭のなかで、「最寄りの駅に行って切符を買えばいい」と具体化がすぐできるからです。

この具体化する。という作業は、「目標対象をシステムとして捉える」とほぼ同義です。
目標の対象を構造化できる。たとえば大阪に行く目標であれば、JR(新幹線)を知っていれば、それが容易になります。
もちろん単に存在を知っているというのではなく、JRのシステム(お金を払った乗客を目的地まで運ぶ)を知らなければいけません。

現在のこの複雑な社会を「システムとして捉える」のがシステム思考です。

システム思考で定義される「システム」とは「目的を達成するため、相互に作用する要素を組み合わせたもの」を言います。
つまり
・何が、要素(人・モノ・金・情報)なのか?
・要素をどう組み合わせるか?
の2つだけを適切に行えば、目的は達成されるのです。

社会システムの設計手法

INCOSE(The International Council on Systems Engineering)では、標準的なシステム開発手順を取りまとめ発表しています。
ここでいうシステムとは、技術システムだけではなく、街づくり、組織づくりなどの社会システムも含まれますが、慶応大学大学院システムマネジメント(SDM)研究科等を中心に、個人の幸せや欲求の分析など様々な分野で広くシステム開発の手順が応用されています。

ここでは個人の目標≒夢を念頭に置いて、夢をかなえるためのシステム(マイシステム)設計のやり方を考えてみましょう。

Vモデルは夢をかなえるシステム

Vモデルとは、システム開発の手順をモデル化したものです。
システムは、
要求定義 → 設計・開発 → 製造 → インテグレーション(統合) → 検証
という過程を経て開発されます。
これを図解化したものがVモデルです。
いわゆる技術システムだけでなく、社会システムや個人の目標も同じように利用可能です。
要求定義で、はたして夢や目標は何なのか、できるだけ具体的に落とし込みます。
設計・開発は、どうすれば夢が叶うのか、目標に達成できるかの設計及びロードマップの作成です。
ここで大事なことは、システムは多くの要素が相互作用しているのですから、単純に(直線的に)夢への工程をまっすぐ引いても現実的ではありません。
多くの関係者の分析(ステークホルダー分析)、そしてそれらが合わさりどのような”振る舞い”をするか(シーケンス制御)、を考慮します。たとえばあなたの会社が新商品を開発して売り出せば、ライバル会社は当然何らかの対応をするでしょう。そのとき顧客や取引先はどう動くのか?
多くの人が、夢や目的の実現を考えますが、それには多くの協力者や敵対者(ライバル)がいて、その中で梅や目標をどのように実現するのか考えが至っていません。

Vモデルは宇宙開発のような数百万にも及ぶサブシステムや数多くの関係者を束ねて、衛星の打ち上げといった目的を達成することを目的とします。
会社、社会、人間関係と言った、多くの利害関係者が存在する社会システムの中で、個人の夢や目標を達成するのにもとても役立ちます。

大事なのは絶えず正しい位置に修正し続けること

そして、実際に夢や目標を組み立てる(インテグレーションする)工程では、「検証」が大事です。
常に検証し、フィードバックして、絶えず正しい位置に修正し続けること。
「今、なにかうまくいかない」、という状態であれば、仮説を立てて、問題点課題点を特定する。(ここでもシステム思考の因果ループ等のメソッドが力を発揮します)
システム思考は、いわば夢や目標へのフライト・シミュレーターのような役割を果たしてくれます。