「システム思考」を身につければ、目標や夢が叶う理由。
これはとても単純なことなのですが、その夢や目標の多くが、人が作ったシステム・社会システムだからです。
もちろん例外がないわけではなく、(現代の医療技術では)不治の病を治してください。とか、宇宙人に会いたい。あるいは次に生まれ変わったら一緒になろうなどという夢は、システム思考ではどうにもできません。これらは社会システムとは関わり合いがないものだからです。
それこそ潜在意識なり神様に祈るしか方法がありません。
しかしほとんどの夢や目標は、社会システムの中で、「それをうまく活用して自分のやりたいことをする」にあります。
例えば、「東京大学に入学したい」のが夢でしたら、入学試験を受けるというシステムが定まっていますので、それに合わせた対策を取る必要があります。
対象である東大入試問題とはどういう「問題」が出るのか、その対象の「問題」とはどのようなものか、そのためにこちらはどのような対策を取ればよいのか。
このように、受験というわかりやすいシステムでしたら誰でも対策をたてることができます。
それに比べれば、会社で出世したい、とか、ビジネスで成功したい、お金持ちになりたい。
◯◯の分野で活躍したい。などは、誰にでもわかる確立されたシステムではありません。
ケースによって、場合によって全く異なるからわかりづらい。
「システム思考」はそういうときに複雑な社会システムをシンプルに読み解き、システムのどの部分を押せばうまく動くのかを示してくれます。
システム思考はフライト・シミュレーター
マサチューセッツ工科大学(MIT)のジョン・スターマン教授は、システム思考及びその元になったシステム・ダイナミクスを、「フライト・シミュレーター」と呼んでいます。
複雑で大掛かりなシステムである旅客機を、いきなり操縦することはできませんが、フライト・シミュレーターで訓練すれば、失敗を気にすることなくコツをつかむことがある程度はできるようになります。
「旅客機を操縦してニューヨークへ行きたい」といくら心でイメージしても、実際に操縦することができるようにはなりません。
操縦士の訓練では、練習機に乗る前に綿密にフライト・シミュレーターで離陸から着陸まで訓練をします。
最近は自動車教習学校でもドライビング・シミュレーターをするのが普通になっていますね。
車種や機種によって若干の違いはありますが、車や旅客機は、スタート(離陸)からゴール(着陸)までおおよその機械操作のやり方は決まっています。したがっどの車に乗る人も、あるいは飛行機を操縦する人も同じシミュレータ装置を使って訓練することが可能ですが、ひとりひとりの夢や目標は異なりますし、環境や状況もまた異なります。
したがって会社や部署ごとに、あるいはひとりひとりに全く別のシミュレーターが必要になります。
そのため個別のシミュレータの設計方法がやシステム・ダイナミクスであり、それをもっと簡略化して、誰にでもできるよう大事なエッセンスを抽出したのがシステム思考なのです。
目標や夢があるけれど、どのように戦略や戦術を立てたらよいか迷いがある。あるいは、問題や課題があって、うまく進まない。
という方はぜひシステム思考に触れてみていただければと思います。
灯台の灯りを見ているだけでは、その灯りに近づけない。
以前読んだニューソート派牧師のジョセフ・マーフィーの本に、こんな表現がありました。
夢や目標をイメージするということは、暗闇の中で灯台の灯りと同じ。それを見ていれば、間違いなくたどり着ける。
一見もっともらしく聞こえますね?
私たちがいる場所が、平坦な場所であるとか、静かな海の中にいるのでしたら、歩いたり泳いだりしてその灯台までいつかはたどり着けるでしょう。
ニューソート運動が盛んであった19世紀末や20世紀はじめはそういう状況だったのかもしれません。
でも現在の複雑な社会システム構造、高度資本主義社会は、言ってみれば大波に襲われたり、あるいは海の中にサメがいるかもしれません。
あるいは、私たちのいるところから、その灯台まで何百キロも離れていて、私たちが見ているのは、ネットやテレビの映像、あるいはレーダーの点であったりします。
そういう海に勇気を持って飛び込もうと考える人は、この21世紀にはほとんどいないと思います。多くの人は、地図を見るなりして、その灯台のある場所に行く方法を考えるに違いありません。その間に橋はかかっているのか?その場所にたどり着くための航路、空路はどうなっているのか? その時私たちは頭のなかでまさにシミュレーションを行っているうことがわかります。
そして、航路があれば、時刻表を見るなり船会社に連絡するなりして目的地までの切符を買って、その船に乗り込む。
目的地に行くことを忘れたり諦めたりすればそのと灯台のある場所にたどり着けませんが、実際に私たちがやらなければいけないのは、どのような社会システム(船も航空機も橋もまさに社会システムですね)を活用して目的地にたどり着くかシミュレーションを行うことです。
ただ目標や夢が叶うよう、願っているだけでは何も生まれませんし、かといって闇雲に行動しても目標や夢が近づくとは限りません。
人生のフライト・シミュレーターとなる、システム思考のコツを是非学んでいただきたいと思います。