前回(システム思考で「幸運」を掴む方法がわかる(1))は、幸運は全くコントロールできないものではないここと。そして、そのためには、自分を取り巻く構造を理解する。(構造の認識)
システムの経路依存性を理解し、小さなノイズを見逃さず、フィードバック(自己強化ループ)を強化する。(フィードバック)
以上の2点が、幸運を掴む方法であることを述べました。

ここではもう少し具体的な方法を述べていきます。

自分を取り巻く構造を理解する

例えばあなたが、郊外に小さなお店を構えたとしましょう。
あなたの夢は、ゆくゆくここを大きくしていくことです。

お店を作ることは、ある程度の資金があれば、誰にでもできます。
問題はこのお店を継続させて、伸ばしていくことですね。

しかし現実は厳しく、例えば飲食店のデータでは開業後1年で35%が潰れると言われていて、平均3年しか続いていないのが現実。
まずい店とか、雰囲気の悪い店が潰れるのは致し方ないとしても、多くのお店は独自の色をだそうと努力していたり、一生懸命サービスしたりしていたはず。
それでも、3年以上続く店がわずかなのは、そういうことだけではないのが、難しいところです。
それが「運」といえるかもしれません。実際多くの店が潰れる中、数年以上続いた店はラッキーとも言えるでしょう。運を味方につけたとも。

例えば、同じような味とサービスレベルのお店で、A店は駅前で、B店は駅から離れたところにあるとします。
一般には、BもAの立地を狙っていたのですが、先にAに契約されてしまいました。
普通は、Aはついている(運がある)、Bはついていない(運がない)、と考えられますね?

しかし少し見方を変えると、駅から遠く立地が悪いということは、家賃が安い、経費がおさえられるということになります。

幸運をつかむ1

ここまでは、Bが有利ということにはなりません。でもここで、抑えた経費が他の予算に使えることがわかれば、独自の工夫をする。例えば素材にお金をかけるとか、独自のマーケティングをするなどで、よい商品を出せば、それが評判となって、立地が悪くともお客が来て売上が上がります。それをまた投資に回せば、正のフィードバックループが回りますね。「隠れ家」「隠れた名店」といわれるお店は、この自己強化ループがまわっていることがわかります。

幸運をつかむ2

なお、上図では大雑把に描いていますが、このフィードバックループで肝となっているのは、「評判」です。
顧客がお店を気に入って、リピーターとなる。あるいはSNSに書いたり、口コミで顧客が顧客を紹介してくれる。
この状態が起これば、(理屈上では)自然と、顧客は上昇カーブを描いて増加していきます。
銀行預金に利息がつくがごとく、複利で伸びていくのです。

幸運をつかむ4

無論これは、自動的に起こることではないのです。
立地が悪いのは、人どおりが少なく、売上が上がらない。お店が倒産する。そしてますます人通りが少なくなる。
そういう自己強化ループも存在しています。

幸運をつかむ3

地方のシャッター通り商店街などではこのフィードバックループが回っていることが多いです。

『運をつかむ』とは『正のフィードバックループをまわす』こと

これらは、ほんの一例に過ぎません。私たちの周りには実に多くのフィードバックループが回っています。
「運をつかむ」とは、「どのフィードバックループの強化に資源を投資するかという行為」に置き換えることができます。
上記のお店の例で言えば、最初のループを回して、下のループは、できるだけ回さない、という戦略をたてることが有効であることはすぐわかりますね。

そのためにはどうすればいいか。ここからは個別案件ごとに異なりますが、ほとんどの場合、その正のフィドバックループ(自己強化ループ)の背後には、負のフィードバックループ(バランスループ)が隠れていますので、そのバランスループを活用することが鍵となります。
伸ばしたいときは、そのバランスループの力を弱めるような戦略をとる。シャッター商店街の例のように、悪循環になっているフィードバックループを弱mるためには、それをストップさせるようなバランスループを見つけて、それを強化させる。といった戦略が多くの場合有効です。

同じことでも、見方をかえれば違って見える。とか、自分たちの長所や良いところを伸ばそう、とか、誰でも知っていることかと思います。
でも、それだけでは不十分であって、そのことで、「フィードバックループが起こるよう徹底する」必要があります。

システム思考に慣れてくると、自分の周りの構造を因果ループで表すことが簡単にできるようになってきます。
私たちを取り巻く様々なループ(自己強化ループやバランスループ)を見抜くことができるようになれば、私たちがどのような行動を取ることによって、そのループに影響をあたえることができるか理解することも容易になってくるでしょう。

それこそが「運をつかむ」行為であり、運を呼び込む事ができるようになる最短の道であると考えます。